| 確認段階 | 判断ポイント |
|---|---|
| 売上 | 返品後の実売上 |
| 粗利 | 原価・値引き控除後 |
| 貢献利益 | 広告・物流・手数料控除後 |
| 営業利益 | TP費・人件費・固定費控除後 |
1. 利益を消す費用を洗い出す
中国ECでは販売手数料、決済、倉庫、配送、返品、販促値引き、広告、TP会社費用が別々に発生します。会計上の売上と店舗運営レポートを突き合わせ、商品一個を売るたびに増える費用と月額固定費を分けます。
売上総額から商品原価だけを引いた数字を利益と考えると、採算を誤ります。大型セールのクーポン、送料無料、ライブ配信手数料、倉庫作業、廃棄、為替差損まで商品別にひも付けます。
| 段階 | 差し引く項目 | 確認する数字 |
|---|---|---|
| 実売上 | キャンセル、返品、値引き | 入金対象額 |
| 商品利益 | 原価、関税、物流、手数料 | 商品別限界利益 |
| 施策後利益 | 広告、KOL、制作、配信費 | 施策別利益 |
| 最終採算 | TP固定費、保管、管理費 | 月次利益 |
2. 大型セールの値引きを検証する
売上が伸びても、プラットフォームクーポン、店舗クーポン、買付け特典、KOLコードが重なると粗利が急減します。通常期とセール期を分け、値引き原資を誰が負担したかまで確認します。
セール期間の売上が増えても、値引き率と広告費が上がれば利益が減ることがあります。通常価格、実売価格、ブランド負担クーポン、プラットフォーム補助を分け、注文当たりの利益を比較します。
新規顧客獲得が目的なら、初回注文だけでなく、商品特性に合わせて事前に定めた期間内の再購入を確認します。在庫削減が目的なら、保管費や期限切れ損失をどれだけ減らせたかを評価します。
3. 返品と在庫評価を反映する
受注時点の売上だけでなく、返品確定後の売上、再販売できない商品の損失、保管料、期限切れリスクを反映します。売れ筋でも補充単位が大きい商品は資金を圧迫するため、在庫回転日数を見ます。
- 商品説明との不一致による返品はページ改善へつなげる
- 破損や配送遅延は倉庫・物流会社別に確認する
- 開封済み返品を再販売できるか基準を明文化する
- 社内で定めた滞留期間を超えた在庫は値下げ・撤退判断の対象にする
返品が翌月に確定する場合、当月売上だけを見ると利益が過大に見えます。返品引当や確定前返品を月次レポートに併記し、実態に近い採算を確認します。
4. チャネル別に採算を比較する
Tmall、JD、Douyinで同じ商品を売っても、集客費と返品率は異なります。売上構成比ではなく、チャネル別の限界利益、新規顧客、再購入、運営工数を比較し、役割を決めます。
チャネルごとに販売価格や顧客層が違うため、売上高だけで撤退を決めません。利益、指名検索への寄与、顧客データ、在庫共有、運営工数を合わせて比較します。特定チャネルでしか売れない商品がある場合は、その理由も確認します。
複数チャネルで在庫や広告費を共通利用している場合は、配賦ルールを固定します。月ごとに配賦方法が変わると採算比較ができません。
5. 改善の順番を固定する
まず価格と値引き、次に広告、物流、在庫、固定費の順で確認します。すべてを同時に削ると売上原因まで失うため、月次で一つの仮説を検証し、利益額と顧客数の両方で判断します。
6. 注文単位の利益ウォーターフォールを作る
月次損益だけでは、どの注文が利益を生み、どの注文が損失を広げたかを特定できません。注文IDを基準に、受注額から取消・返品を除いた実売上を出し、商品原価、プラットフォーム手数料、決済、物流、注文に直接ひも付く販促費を順に差し引きます。
| 計算段階 | 計算内容 | 照合する証憑 |
|---|---|---|
| 実売上 | 受注額-取消-返品-ブランド負担値引き | 注文・返金データ、入金明細 |
| 商品粗利 | 実売上-商品原価-輸入関連費 | 商品台帳、通関・仕入明細 |
| 注文貢献利益 | 商品粗利-手数料-物流-注文連動の販促費 | 精算書、倉庫明細、広告・配信明細 |
| 月次事業利益 | 注文貢献利益の合計-TP固定費-保管・管理費 | 契約書、請求書、会計帳簿 |
TP会社の店舗レポート、プラットフォームの精算データ、社内会計で締め月が異なる場合は、注文IDと精算月を併記します。数字が一致しない時は、値を平均するのではなく、取消の計上日、返金確定日、広告費の配賦基準を記録し、差額の理由を残します。
7. 赤字SKUを停止・改善・継続に分ける
注文貢献利益を出した後は、SKUごとに次の行動を固定します。赤字という事実だけで全商品を撤退させず、赤字原因を変えられるか、ブランド入口やセット販売などの役割があるか、在庫と運営負担を維持できるかを分けて判断します。
| 判定 | 該当する状態 | 次の行動 |
|---|---|---|
| 停止 | 注文貢献利益が赤字で、役割も改善条件も説明できない | 広告・値引き・追加発注を止め、既存在庫の処理条件を決める |
| 改善 | 価格、返品、物流、広告のいずれかに修正可能な原因がある | 変更項目を一つに絞り、対象期間と再判定日を先に決める |
| 継続 | 返品と変動費を反映しても利益が残り、供給と運営を維持できる | 在庫欠品を防ぎつつ、利益額と再購入の推移を確認する |
8. まとめ
売上があるのに利益が出ない時は、実売上から原価、物流、手数料、広告、TP費、返品、在庫損失まで注文・SKU・チャネル別に分解します。注文貢献利益を共通基準にすれば、セールや広告の見かけの売上に左右されず、停止・改善・継続を決められます。数字の差異は証憑と計上時点まで記録し、翌月も同じ基準で比較できる状態を作ります。