1210
網購保税輸入
保税倉庫在庫モデル型
9610
直購輸入
注文後発送型
三単
注文・決済・物流
データ照合
清単
対象品目か
事前確認
注意:本記事は、中国越境EC小売輸入の基本的な整理です。実際の適用可否、税率、ポジティブリスト制度(正面清単)の対象、プラットフォーム要件、通関実務は、商品・販売経路・保税区・物流会社・中国側事業者によって変わります。出荷前に中国側パートナー、物流会社、必要に応じて専門家へ確認してください。

1. 中国越境ECは「個人向け小売輸入」の制度から考える

中国越境ECという言葉は広く使われますが、制度上は、中国国内の消費者が第三者プラットフォームなどを通じて海外商品を購入し、越境EC小売輸入として中国へ入る形が中心です。一般貿易のように中国国内流通へ大きく卸す形とは、通関、税、表示、販売後責任の考え方が異なります。

2018年の関係部門通知では、越境EC小売輸入は「網購保税輸入」(海関監管方式コード1210)または「直購輸入」(9610)で運び込まれる消費行為として整理されています。つまり、保税倉庫在庫モデルか直送かは単なる物流の好みではなく、通関データ、販売チャネル、在庫の置き方に関わる設計問題です。

最初に押さえる線引き
越境ECは「中国で試し売りしやすい入口」ですが、無制限に中国国内販売へ使える制度ではありません。個人使用、ポジティブリスト制度(正面清単)、取引限度額、三単照合(注文・決済・物流情報の照合)などの前提を満たす必要があります。

2. 保税倉庫在庫モデルモデル:売れる前に中国側へ在庫を置く

保税倉庫在庫モデルモデルは、商品をあらかじめ中国の保税倉庫や税関特殊監督区域にまとめて入れておき、消費者の注文後に通関処理をして中国国内配送する形です。一般に、配送が速く、セール時の大量注文に対応しやすい一方で、事前に在庫を持つため、売れ残りや商品切替のリスクがあります。

このモデルでよく出てくるのが1210です。中国税関の関連説明では、1210は越境貿易電子商取引の保税型に使われる監管方式コードとして整理され、プラットフォーム、決済、物流、倉庫などのデータ連携が重要になります。

見るポイント保税倉庫在庫モデルモデルの特徴注意点
配送速度 中国国内倉庫から配送できるため、消費者体験を作りやすい。 物流体験は比較的安定しやすい
在庫 販売前に一定量を中国側へ置くため、需要予測が必要。 売れ残り・賞味期限・型落ちに注意
初期準備 保税区、倉庫、プラットフォーム、通関データ連携を整える。 小ロット検証には重くなる場合がある
向く商品 回転が読める定番品、リピート商材、セール対象品。 季節品は販売計画と在庫調整が重要

3. 直送モデル:注文後に海外から中国消費者へ送る

直送モデルは、中国の消費者が注文した後、日本や海外倉庫から個別に発送する形です。制度上は9610が代表的なコードとして語られます。販売前に中国側へ大きな在庫を置かずに済むため、初回テスト、SKUが多い商品、需要が読みにくい商品では検討しやすいモデルです。

一方で、国際配送が入るため、配送リードタイム、送料、返品、破損、通関遅延、消費者問い合わせ対応が課題になりやすくなります。小紅書RED(中国の口コミSNS)やDouyin(中国版TikTok)で商品認知が急に伸びても、配送体験が悪いとレビューに響くため、物流会社選定と出荷オペレーションは軽く見ない方がよい部分です。

01
在庫を軽く試せる
中国側にまとめて在庫を置かず、反応を見ながらSKUを絞り込める。
02
配送体験に差が出る
航空便・通関・国内配送の組み合わせで、到着日数と問い合わせ量が変わる。
03
返品設計が重要
国際返品はコストが高く、返金・再送・破棄のルールを先に決めたい。

4. ポジティブリスト制度(正面清単)・取引限度額・三単照合(注文・決済・物流情報の照合)を確認する

越境EC小売輸入では、対象商品が「跨境電子商務零售進口商品清単」に含まれるかが基本論点になります。2022年には、財政部など8部門が清単を調整し、スキー用品、食洗機、トマトジュースなどの品目が追加されたと公表されています。日本企業も、商品名だけで判断せず、HSコードと備考条件まで確認する必要があります。

税制面では、2018年の財政部・海関総署・税務総局通知により、越境EC小売輸入の単回取引限度額は5,000元、年間取引限度額は26,000元へ引き上げられました。限度額内の商品では、関税を暫定的に0%、輸入段階の増値税・消費税を法定税額の70%で徴収する扱いが説明されています。ただし、商品や取引額によって扱いが変わるため、販売価格設計では中国側の実務確認が必要です。

もう一つ重要なのが「三単照合(注文・決済・物流情報の照合)」です。注文情報、決済情報、物流情報を税関と連携し、同じ取引として照合できる状態にする必要があります。プラットフォームを使う場合でも、自社ECや独自導線を組む場合でも、このデータ連携を誰が担うのかを確認しておくことが大切です。

確認項目見ること実務上の質問
ポジティブリスト制度(正面清単) 対象品目か、備考条件や監管条件があるか。 この商品はHSコード単位で対象に入るか。
税・限度額 単回5,000元、年間26,000元の枠と課税方法。 セット販売や高単価商品はどう扱うか。
三単照合(注文・決済・物流情報の照合) 注文、決済、物流データを税関へ連携できるか。 誰のシステムでデータを送るか。
販売後責任 返品、返金、品質クレーム、消費者対応の役割。 中国語CSはどこが担当するか。

5. どちらを選ぶか:商品と販売段階で分ける

保税倉庫在庫モデルと直送は、どちらが優れているというより、販売段階と商品特性で使い分けるものです。最初から大きく保税在庫を積むと、売れなかったときの処理が重くなります。一方で、認知が出て注文が増えた後も直送だけに頼ると、配送日数や送料がボトルネックになりやすくなります。

状況検討しやすいモデル理由
初回テスト販売 直送モデル 在庫負担を抑え、SKU別の反応を見やすい。
リピート商材 保税倉庫在庫モデルモデル 配送速度と在庫回転を作りやすい。
賞味期限が短い商品 慎重に判断 保税在庫の滞留、直送の配送日数の両方が課題。
高単価・低頻度商品 直送または一般貿易も比較 越境EC限度額や販売後対応の確認が必要。

6. 日本企業が初回に見るべき実務チェック

日本企業が中国越境ECを始める場合、いきなり「Tmall Global(天猫国際)に出すか」「Douyin(中国版TikTok)で売るか」だけを議論すると、物流と通関の設計が後回しになりがちです。特に食品、化粧品、健康食品、ベビー用品、家電、医療・衛生関連商品は、品目別の確認を先に進める方が安全です。

  • 1商品リストを作る:商品名、型番、成分、材質、用途、原産国、賞味期限、希望販売価格を整理する。
  • 2HSコードと清単を確認:中国側物流会社や通関実務者と、対象品目・備考条件を確認する。
  • 3販売モデルを仮決め:初回は直送で反応を見るのか、定番品だけ保税倉庫在庫モデルにするのかを分ける。
  • 4三単連携を確認:プラットフォーム、決済、物流、通関データの担当者を決める。
  • 5返品・CSを決める:中国語問い合わせ、破損時の再送、返金、レビュー対応を販売前に決める。

7. まとめ:越境ECは「売り方」より先に「入れ方」を決める

中国向け越境ECでは、SNS施策や商品ページ作成の前に、商品がどの制度で中国へ入るのかを確認する必要があります。保税倉庫在庫モデルは配送体験を作りやすい一方、在庫リスクがあります。直送は小さく試しやすい一方、配送日数と返品対応が課題になります。

現実的には、初回は直送で反応を見る、売れ筋だけ保税倉庫在庫モデルへ移す、一定規模を超えたら一般貿易も比較する、という段階設計が取りやすいでしょう。重要なのは、1210や9610というコード名を覚えることではなく、ポジティブリスト制度(正面清単)、三単照合(注文・決済・物流情報の照合)、税制限額、在庫、販売後対応を一つの販売設計として見ることです。

本記事の位置づけ:公開情報と一般的な越境EC実務をもとにした入門〜中級向け整理です。個別商品の通関可否、税額、清単該当性、プラットフォーム要件は、最新の中国当局資料と実務者確認を前提にしてください。

参考資料

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